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はじめに

武術は闘争の技術であり殺傷を目的にしたものです。

日本人は長い歴史の中で武術を単なる殺傷技術でなく、人間形成の「道」として昇華させました。

 

負ければ即、死が直結していた時代です。目の前の生死を超越したい心は、次第に普遍的哲理を求めるようになります。。強い心を保つためには、それが自然の成り行きだったかもしれません。

 

武士は模範的な行為を求められますが、なによりも死に対して臆することを一番嫌います。武術を習得することは心身を強く鍛えることが目的ですが、その心の部分を強くすることが何よりの一大事だったと思います。

 

ゆえに単なる殺傷技術の武術が東洋哲学を礎に進化することで、現代でも大いに通じるものになっているのは日本武術の素晴らしさの一つといえます。

 

綿々と紡ぎだされてきた多種多様な日本の武術は身体文化としても評価が高く、現在でも愛好者によって続けられています。

 

古武術の身体操作の多くは柔よく剛を制す、力に頼らないことが特色です。剣術、体術、武器術すべてが効率的な動作によって構成されています。

 

その精緻な術理はあらゆるジャンルで応用できるものです。

 

共通する根本原理はシンプルで決して難しいことではありません。体がそのように動かせる訓練が必要なだけです。稽古はその為にあるといっても過言ではありません。

 

古武術の良さは老若男女、誰でもできる術技であること。また健康増進にも適していること。そして何よりもいたずらに人を傷つけるものではないことです。

 

古武術は人間の力を最大限に生かし、心身共に成長し続けることが目的です。武道に定年、引退の文字はありません。生涯現役でいられること。それにはやはり技術面が大きく左右します。

 

生涯、あきらめず身体を究める。古人が成し遂げたであろう境地を目指して一歩一歩進んでいく。古武術は終わりのない旅です。そして個人の可能性を大きく拡げてくれるものでもあります。